アメリカにおける日本の音楽の話 (Revised)
by sito
元はmixiに書いたもので、結構反響があったのでこっちにも加筆訂正して掲載。
NYCでJapan Niteに行って思ったのは、まあ、日本のロックなんてアメリカじゃ結局イロモノ、キワモノ扱いなんだなあ、ということ。会場は600人収容くらいのBowery Ballroomというところだったけれど、観客の入りは8割弱くらい。5/7組が終わった時点で飲んでたのと疲れてたので退散したけど、なんだか全体的に寂しい印象だった。
観客はほぼ3種類にきっぱり分かれていて、
1. J-Rockマニアのアメリカ人
2. とりあえず興味本位で来てみたアメリカ人
3. とりあえず興味本位で来てみた日本人
のどれか。いい音を鳴らすバンドが多かったのに、観客とバンドの温度差にも、観客の態度にも、釈然としないものがあった。NYCはシビアな観客が多いと聞いてたけど、あの盛り上がりのなさはそのためなのかどうなのか。バンドメンバーの拙い英語に失笑しつつからかってる日本人の連中には特に腹が立った。でもそういう、英語になった途端拙くなるコミュニケーション能力も含めて、日本のバンドがアメリカでも通用するようになるには時間がかかるに違いないとはっきり感じた。
例えば宇多田ヒカルは「日本=エキゾチック」のステレオタイプ・イメージを利用したアルバムをアメリカで数年前にリリースして大コケした。最近出したのは「アメリカでチャートイン!大成功!」って言われている。でも実際のところどうなんだろう。彼女は才能あると思うけど、だからって外人の真似して売っても仕方ないような気がする。日本人なんだから。
そもそも体制だって全然整っていない。PolysicsだとかCorneliusだとか、海外でも通用するキャラクターを確立できているバンド/グループというのは意外と少ないし、そういったバンドをサポートする体制も貧弱だ。アメリカでもマーケティングとプロモーションをしっかり出来て、きちっとレーベルも整備出来て、イキのいいバンドを送り込める、そういうことの出来る日本の会社、どこかにないのだろうか。今のところ音楽なんて需要は限りなくあるんだし、昨今の日本の音楽業界の動向を考えてみるに、そういう拡大路線もありなはず。そういえば千葉かどこかのインディペンデント系ライブハウスがSeattleの中堅ライブハウスChop Sueyを買収して「Seattle2号店!」って意気込んでいたけど、それ以降日本のバンドをSeattleへ送り込んだわけでもなく、ただ買収だけが成立して終わった感じ。勿体ないことだ。
そもそもアメリカで有名な日本人のアーティストなんていうのは、ほとんどがアニメの主題歌を歌っているバンドなりグループだ。日本のアニメはこっちでは相当な人気だし、何よりそれ以外の音楽の情報なんて全然入ってこないのである。ニュースサイトはいくつかあるけれど、明らかに敷居が高かったりジャンルの偏りが激しかったりで、Target Audienceの狭さが浮き彫りになっている。
そんなサイトを支えるのは大抵とんでもないマニアたちで、日本人ですら誰も知らないようなビジュアル系バンドを崇拝していたり、「日本のグループだとBoredomsが良いね」みたいなことをさらりと言うアングラな人たち。そしてその多くは何らかの形で日本語を勉強している人たち。でないと歌詞も理解できないわけだし(Boredomsは除き)。熱心なのになると自分で日本語の歌詞を英訳する人もいる。これは日本人が洋楽の歌詞を訳して英語を勉強するのと同じだけど、日本と違うのは、それをblogやFacebook上で積極的に公開する人がほとんどということ。
そして流通経路。アメリカで日本のCDを手に入れるには、Amazonか、CDJapanがほぼ唯一の選択肢といっていい。iTunesにもそこそこ日本のバンドは売りに出ているけど、あまりに膨大なiTunes Storeのコレクションの中に埋もれてしまっている印象。それ以外はジャンルやバンド別に分かれたオンラインフォーラム内での交換や違法ダウンロードになる。これぞマニアのたまり場で、ZAZEN BOYS専用フォーラムとかもあったりする。で、自分の知る限り、こういうフォーラム内にfileshareのリンクが貼られそこからダウンロード、が一番割合が大きい。あまりにニッチだから、極限まで同じ嗜好の人たちでないと情報を共有する価値も意味もないということなのだろう。
日本には良いバンドがごまんとあるのに、ものすごく偏ったジャンルの音楽ばっかりがごくごく一部のアメリカ人に愛されている。これは情報がちゃんと入ってこないのと、流通経路がしっかり整備されていないからだ。そして実際の音でしか勝負できないバンド達。もちろん音は一番大事なんだけれど、コミュニケーションの欠如は問題だ。音は良いけど言ってることもしようとしてることもわけ分かんない、という次元で停滞してしまう。自分は音楽業界に就職するつもりはこれっぽっちもないけれど、この現状はどうかなあ、と残念に思っている。
Comments
ショさんはやっぱりどちかって言うとArtの方なんだって思いました。
意味分からないかも知れないけど・・・;
CreatorというよりはAppreciatorだけどね。笑。